介護職の転職で年収が下がることはあります。ただし、必ず下がるわけではなく、基本給だけでなく、夜勤回数・資格手当・賞与・残業代などを含めた年間の総支給額で判断することが大切です。
転職後に年収が上がるケースもあるため、求人票の月給だけで決めず、現在の年収と転職後の見込み年収を同じ条件で比べましょう。
介護職の転職で年収が下がる主な理由
年収が下がるかどうかは、転職先の給与制度と、現在の勤務条件が変わるかどうかで決まります。特に、次の条件が変わると年収が下がりやすくなります。
- 夜勤の回数が減る、または夜勤がなくなる
- 資格手当や役職手当がなくなる
- 基本給や賞与の支給月数が現在より少ない
- これまでの経験年数が給与に十分反映されない
- 残業代や処遇改善に関する手当の支給条件が変わる
- 正社員からパート・契約社員などに雇用形態が変わる
たとえば、現在の年収が夜勤手当や残業代によって高くなっている場合、日勤のみの職場へ転職すると、基本給が同程度でも年収は下がる可能性があります。
基本給が高くても年収が下がることがある
求人票の月給が現在より高く見えても、年収全体では下がる場合があります。比較するときは、月給だけでなく、賞与と毎月変動する手当を分けて確認してください。
| 確認する項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 基本給 | 昇給や賞与の計算基準に含まれるか |
| 固定手当 | 資格手当、職務手当、処遇改善に関する手当などの金額と条件 |
| 夜勤手当 | 1回あたりの金額、月の平均回数、夜勤開始後に支給されるか |
| 賞与 | 支給の有無、支給回数、算定期間、基本給を基準にするか |
| 残業代 | 固定残業代の有無と、超過分の扱い |
| 昇給 | 昇給の時期、評価方法、資格や勤続年数の反映方法 |
「月給○万円以上」のような表示は、夜勤手当や資格手当を含んでいることがあります。何を含む金額なのか、夜勤を何回行った場合の金額なのかを確認しないと、現在の給与と正しく比較できません。
年収が下がりやすい転職と、上がる可能性がある転職
年収が下がりやすいのは、給与を上げていた手当や勤務条件を失う転職です。一方、経験や資格が評価され、役職や業務範囲が広がる転職では、年収が上がる可能性があります。
| 転職の条件 | 年収への影響の考え方 |
|---|---|
| 夜勤ありから日勤のみへ変更 | 夜勤手当がなくなるため、年収が下がる可能性がある |
| 無資格から資格を生かせる職場へ転職 | 資格手当や担当できる業務が増え、上がる可能性がある |
| 一般職からリーダー職・管理職へ転職 | 役職手当などにより上がる可能性がある |
| 小規模事業所から大規模法人へ転職 | 給与制度や福利厚生が変わるが、法人ごとに異なるため一律には判断できない |
| 正社員から短時間勤務へ変更 | 勤務時間に応じて月給や賞与が変わり、年収が下がる可能性が高い |
| 通勤しやすい職場へ転職 | 給与が下がっても、交通費や通勤時間などを含めた負担が減る場合がある |
この表の傾向は一般的な判断材料であり、実際の年収は勤務先の給与規程と雇用条件によって決まります。施設の種類だけで給与の上下を断定することはできません。
転職前に年収を比較する方法
転職前は、現在の給与明細や賞与明細をもとに、年間の総支給額を計算します。その後、転職先について同じ項目を確認し、条件をそろえて比べます。
-
現在の年収を確認する
直近1年間の給与明細を集め、基本給、各種手当、夜勤手当、残業代、賞与を合計します。手取り額ではなく、税金や社会保険料が引かれる前の総支給額で比べます。 -
転職後の勤務条件を確認する
月給に含まれる手当、夜勤の回数、勤務時間、賞与、残業代、昇給の条件を確認します。求人票だけで分からない項目は、応募先や採用担当者に質問します。 -
年間の見込み額を計算する
基本給と固定手当の月額に12を掛け、賞与と年間の変動手当を加えます。夜勤手当などは、実際に予定している回数を前提に計算します。 -
入職直後と1年後を分けて考える
賞与には算定期間があるため、入職した時期によって初年度の支給額が少なくなることがあります。入職直後の年収と、通常どおり賞与が支給された場合の年収を分けて確認します。 -
労働条件通知書や雇用契約書で確定させる
採用が決まったら、給与額、手当、賞与、勤務時間、夜勤の有無などが書面の内容と一致しているか確認します。口頭で聞いた条件だけで判断しないことが重要です。
年収の計算式
転職後の年間総支給額は、次のように計算できます。
年間総支給額 = 月給の固定部分 × 12か月 + 賞与 + 年間の変動手当・残業代
たとえば、固定部分が月23万円、賞与が年間30万円、夜勤手当などの変動手当が年間24万円の場合、計算上の年間総支給額は次のとおりです。
23万円 × 12か月 + 30万円 + 24万円 = 330万円
これは計算例であり、実際の給与額や賞与を示すものではありません。夜勤回数や残業時間が変わる場合は、複数のパターンで計算すると判断しやすくなります。
年収が下がっても転職する価値があるケース
年収が少し下がっても、働き続けやすさや将来の働き方を優先したほうがよい場合があります。給与だけでなく、転職によって何が改善されるのかを比べることが大切です。
- 夜勤や残業を減らして生活リズムを整えたい
- 通勤時間を短くして、自由に使える時間を増やしたい
- 身体的な負担が大きい業務から変更したい
- 資格取得や研修の機会がある職場で経験を積みたい
- 将来、生活相談員やサービス提供責任者、管理職などを目指したい
- 休日日数や有給休暇の取りやすさを改善したい
ただし、年収が下がる場合は、毎月の生活費を支払えるかを先に確認してください。特に住宅費や教育費など固定の支出が大きい場合は、手取り額と勤務時間の両方で無理がないか検討しましょう。
年収を下げたくない場合の確認ポイント
年収を維持したいなら、応募前に「現在の年収」と「希望する最低年収」を整理しておくと、求人を比較しやすくなります。
- 現在の年間総支給額を賞与込みで把握する
- 夜勤を月何回まで続けられるか決める
- 保有資格と実務経験が給与に反映されるか確認する
- 給与に含まれる手当の名称と支給条件を確認する
- 賞与の算定期間と初年度の支給見込みを確認する
- 固定残業代が含まれている場合は、時間数と超過分の扱いを確認する
- 面接や内定時に、希望年収とその根拠を伝える
「年収○万円を希望します」と伝えるだけでなく、保有資格、経験年数、夜勤の可否、リーダー経験などを示すと、希望条件を検討してもらいやすくなります。ただし、最終的な給与は勤務先の規程や採用条件によって決まります。
介護職の転職で年収が下がるか迷ったときの判断
介護職の転職で年収が下がるかは、転職先の月給ではなく、基本給・賞与・手当・夜勤回数・残業代を含む年間総支給額で判断します。夜勤や手当が減る転職では下がる可能性があり、資格や経験、役職が評価される転職では上がる可能性があります。
まずは現在の直近1年間の総支給額を計算し、転職先の労働条件通知書などで同じ項目を確認してください。年収だけでなく、勤務時間や負担、将来の昇給条件も比べると、自分に合う転職か判断しやすくなります。







