介護職から転職する場合も、退職後の手続きは一般の会社員と基本的に同じです。退職日の翌日に転職先へ入社するか、空白期間があるかで必要な手続きが変わります。
空白期間がある場合は、主に健康保険、年金、雇用保険、住民税の手続きを確認します。退職後すぐに働かない場合は、必要書類が届く前から期限を確認しておくと手続きが遅れにくくなります。
退職後に必要な手続き一覧
まずは、自分の退職後の状況に合わせて次の手続きを確認してください。
| 手続き | 主に必要になる人 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 退職日の翌日に転職先へ入社しない人 | 任意継続、国民健康保険、家族の健康保険のいずれかを選ぶ |
| 国民年金 | 退職後に厚生年金へ加入しない人 | 第1号被保険者への切り替えや、配偶者の扶養に入れるかを確認する |
| 失業給付 | すぐに再就職する予定がなく、受給条件を満たす人 | 離職票を使ってハローワークで受給手続きをする |
| 住民税 | 退職後も住民税の支払いが残っている人 | 給与天引きから自分で納める方法に変わることがある |
| 所得税の精算 | 年内に再就職しない人など | 転職先で年末調整を受けられない場合は確定申告を検討する |
退職後すぐに転職する場合
退職日の翌日などに転職先へ入社する場合、健康保険と厚生年金は原則として転職先で加入手続きを行います。前の勤務先の健康保険証や資格確認書などは、退職時の案内に従って返却してください。
転職先から、基礎年金番号や雇用保険被保険者番号の提出を求められることがあります。年金手帳、基礎年金番号通知書、雇用保険被保険者証など、手元にある年金・雇用保険関係の書類を確認しておきましょう。
ただし、退職日と入社日の間に1日でも空白がある場合は、その期間の健康保険や年金について別の手続きが必要になる可能性があります。日付が連続しているかを、退職日と入社日の両方で確認してください。
転職まで期間が空く場合の健康保険の手続き
退職日の翌日から転職先の健康保険に加入するまで期間が空く場合、健康保険の選択肢は主に3つです。未加入のままにせず、任意継続、国民健康保険、家族の健康保険の被扶養者のどれに該当するかを確認します。
任意継続被保険者制度を利用する
退職前の健康保険に一定期間加入していた場合、退職後も元の健康保険を継続できることがあります。申請先は、退職前に加入していた健康保険組合や全国健康保険協会です。
任意継続は、退職後に自動で切り替わる制度ではありません。一般に、退職日の翌日から一定期間内に申請する必要があり、申請期限は退職後20日以内とされています。加入期間などの条件や保険料は加入先で異なるため、退職前の健康保険者に確認してください。
在職中は勤務先が負担していた健康保険料の分も、退職後は本人が負担することになります。国民健康保険とどちらが安いかは、前年の所得、世帯人数、自治体などによって変わります。
国民健康保険に加入する
任意継続を選ばない場合は、住所地の市区町村で国民健康保険への加入手続きを行います。手続きには、健康保険の資格を失ったことを示す書類、本人確認書類、マイナンバーを確認できるものなどが必要になることがあります。
必要書類や申請期限は自治体によって案内が異なるため、退職した勤務先から「健康保険資格喪失証明書」を受け取り、住所地の市区町村に確認してください。資格喪失日や退職日を伝えると、必要な手続きを案内してもらえます。
家族の健康保険の扶養に入る
家族が加入する健康保険の被扶養者になれる場合は、家族の勤務先を通じて手続きを行います。収入見込みや同居・別居などの条件は健康保険者によって確認されるため、家族の勤務先に必要書類を尋ねてください。
退職しただけで自動的に扶養へ入れるわけではありません。失業給付を受ける場合、その金額によっては被扶養者になれないこともあるため、健康保険者の判定を受ける必要があります。
国民年金への切り替えが必要なケース
退職後、すぐに転職先の厚生年金へ加入しない場合は、国民年金への切り替えが必要になることがあります。住所地の市区町村役場や年金事務所で、退職日の翌日以降の年金の扱いを確認してください。
配偶者の厚生年金の扶養に入る場合は、国民年金の第3号被保険者に該当する可能性があります。ただし、収入などの条件があるため、配偶者の勤務先を通じて確認します。
保険料の支払いが難しい場合は、免除や納付猶予を申請できることがあります。未納のまま放置すると、将来の年金や障害年金などに影響する可能性があるため、支払いが難しい時点で年金事務所や市区町村に相談してください。
失業給付を受ける場合の手続き
退職後すぐに働く予定がなく、働く意思と能力があり、求職活動を行う場合は、雇用保険の基本手当、いわゆる失業給付の対象になる可能性があります。受給には、雇用保険への加入期間などの条件があります。
手続きは、住所地を管轄するハローワークで行います。勤務先から離職票が届いたら、次の書類をそろえて相談してください。
- 離職票
- 本人確認書類
- マイナンバーを確認できる書類
- 写真
- 本人名義の預金口座が分かるもの
- 雇用保険受給資格に関係する書類
必要書類や写真の枚数などは、ハローワークの案内によって異なる場合があります。離職票が届かない場合でも、勤務先への依頼状況や退職日が分かる書類を持って、ハローワークへ相談できることがあります。
すぐに転職する場合は失業給付の扱いが変わる
すでに転職先が決まっており、退職後すぐに働き始める場合は、通常の失業給付を受けるための「失業状態」に該当しない可能性があります。採用日や勤務開始日を隠して申請することはできません。
早期に再就職した場合は、条件を満たせば再就職手当の対象になることがあります。ただし、受給資格の決定前に就職した場合など、状況によって扱いが異なります。退職後に就職が決まった場合は、就職日と雇用条件が分かるものを持ってハローワークへ確認してください。
住民税は退職後に自分で支払うことがある
住民税は前年の所得をもとに課税されるため、退職後に収入がなくても支払いが続くことがあります。退職時期によって、最後の給与や退職金から残りの住民税をまとめて天引きする場合と、後日、自宅に届く納付書で支払う場合があります。
退職後に納付書が届いたら、納付額、納期限、分割回数を確認してください。転職先で給与天引きに戻したい場合は、転職先の担当者と市区町村への手続きが必要になることがあります。
住民税の納付書が届かないからといって、納税が不要とは限りません。退職した勤務先の給与担当者や住所地の市区町村に、残りの納付方法を確認してください。
源泉徴収票と確定申告を確認する
退職した勤務先からは、給与の支払額や源泉徴収税額が記載された源泉徴収票を受け取ります。年内に転職した場合は、転職先へ源泉徴収票を提出すると、前職分を含めて年末調整を受けられることがあります。
年内に再就職しなかった場合や、転職先で年末調整を受けられなかった場合は、所得税の還付を受けるために確定申告を行うことがあります。医療費控除やふるさと納税など、別の申告が必要な事情がある場合も、源泉徴収票を使います。
源泉徴収票が届かない場合は、まず退職した勤務先へ発行を依頼してください。依頼しても対応されない場合は、税務署に相談できます。
介護職の転職で特に確認したい書類
介護職だから特別に必要になる退職後の公的手続きは通常ありませんが、次の書類は転職先で確認されることがあります。
- 雇用保険被保険者証
- 源泉徴収票
- 基礎年金番号が分かる書類
- 健康保険資格喪失証明書
- 離職票
- 退職証明書
- 介護福祉士登録証などの資格を証明する書類
- 実務経験証明書など、転職先が提出を求める書類
介護福祉士などの資格証や実務経験に関する書類は、健康保険や年金の手続きとは別に、採用手続きや資格確認で必要になる場合があります。転職先から指定された書類名を確認し、前の勤務先に発行を依頼してください。
退職後の手続きを進める順番
退職後に空白期間がある場合は、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
- 退職日と転職先の入社日を確認する。翌日入社か、健康保険と年金に空白期間があるかを確認します。
- 勤務先から書類を受け取る。離職票、源泉徴収票、健康保険資格喪失証明書、雇用保険被保険者証などを確認します。
- 健康保険を選ぶ。任意継続、国民健康保険、家族の健康保険の扶養の条件と保険料を比べます。
- 年金の切り替えを行う。転職先の厚生年金に入らない期間がある場合は、国民年金などの手続きを確認します。
- 失業給付を申請する。すぐに働かず、受給条件を満たす可能性がある場合は、離職票を持ってハローワークで手続きします。
- 住民税の納付方法を確認する。最後の給与から一括徴収されるのか、納付書で支払うのかを確認します。
- 転職先へ必要書類を提出する。源泉徴収票や年金番号、雇用保険被保険者番号などを提出します。
手続きが遅れそうなときの確認先
健康保険は、退職前の健康保険者または住所地の市区町村、年金は市区町村または年金事務所、失業給付はハローワーク、住民税は市区町村の税担当窓口に確認します。
特に健康保険の任意継続は申請期限が短いため、退職後に比較を始めるのではなく、退職前に任意継続の保険料と国民健康保険料の見込みを確認しておくと判断しやすくなります。
介護職の転職で最初に行うことは、退職日の翌日から転職先の入社日まで空白があるかを確認し、空白があれば健康保険と年金の手続きを先に確認することです。すぐに転職しない場合は、離職票を受け取ったうえで、失業給付の条件と住民税の納付方法も確認しましょう。







