介護職の転職で退職金制度はどうなる?

介護職の転職で退職金制度はどうなる?

介護職の転職で退職金制度がどうなるかは、介護職かどうかではなく、退職する勤務先の制度と、転職先の制度によって決まります。転職すると、それまでの勤続年数が自動的に転職先へ引き継がれるとは限りません。まずは就業規則や退職金規程で、退職金の支給条件、勤続年数の扱い、退職後の手続きを確認しましょう。

介護職が転職すると退職金はどうなる?

一般的には、次のいずれかになります。

  • 退職時に、それまでの勤務先から退職金を受け取る
  • 支給条件を満たさず、退職金が支給されない
  • 退職金共済や企業年金の制度を通じて、転職先へ移換・通算できる
  • 同じ法人内の異動で、退職扱いにならず勤続年数が続く

退職金制度は、法律ですべての事業者に加入が義務付けられているものではありません。そのため、勤務先に退職金制度があるか、どのような条件で支給されるかを確認する必要があります。

退職金の扱いを決める3つのポイント

1. 勤務先に退職金制度があるか

介護施設や介護事業所に退職金制度があっても、すべての職員が対象とは限りません。正職員のみが対象で、パートや契約職員は対象外となっている場合もあります。

確認する資料は、主に次のとおりです。

  • 就業規則
  • 退職金規程
  • 労働条件通知書や雇用契約書
  • 退職金共済や企業年金への加入案内

「退職金あり」と求人票に書かれていても、勤続年数や雇用区分などの条件までは分からないことがあります。求人票だけで判断せず、採用担当者に支給条件を確認しましょう。

2. 勤続年数の条件を満たしているか

退職金制度には、「勤続3年以上」などの支給条件が設けられていることがあります。条件を満たしていない場合は、退職金が支給されないことや、掛金相当額のみの支給となることがあります。

勤続年数の数え方も制度によって異なります。試用期間、休職期間、育児休業期間、パートから正職員になった期間などが含まれるかは、規程を確認してください。

3. 退職金制度の種類は何か

退職金には、勤務先が独自に支給する制度のほか、退職金共済や企業年金を利用する制度があります。制度の種類によって、転職先へ移せるか、前の勤務先から受け取るのかが変わります。

制度の例 転職時の主な扱い 確認すること
勤務先独自の退職金制度 退職時に勤務先の規程に基づいて精算することが多い 支給条件、計算方法、支給時期
退職金共済 制度によって、加入期間の通算や移換ができる場合がある 同じ共済制度を転職先でも利用しているか、手続き期限
確定給付企業年金 制度の規約により、脱退一時金や他制度への移換などの扱いが決まる 受け取り方法、移換の可否、申請方法
企業型確定拠出年金 転職先の企業年金や個人型確定拠出年金への移換が必要になる場合がある 移換期限、移換先、運用商品の扱い

制度名が分からない場合は、給与明細の控除欄や勤務先から渡された加入者証、制度の案内書類を確認し、人事・総務担当者に尋ねてください。

転職先へ退職金の勤続年数は引き継がれる?

別の法人や会社へ転職する場合、勤続年数が自動的に引き継がれることは通常ありません。前の勤務先と転職先が別の事業者であれば、それぞれの退職金制度に基づいて扱われます。

たとえば、A法人の介護施設を5年で退職し、B法人の特別養護老人ホームへ転職した場合、B法人での勤続年数は原則として転職後から数えます。ただし、退職金共済や企業年金に加入している場合は、制度上の移換や通算が認められることがあります。

同じ法人内の異動なら扱いが異なることがある

同じ社会福祉法人や医療法人が運営する別の施設へ移る場合は、退職ではなく法人内異動として扱われ、勤続年数が続くことがあります。

一方で、施設の運営法人が変わる場合や、いったん退職して再雇用される場合は、勤続年数がリセットされることがあります。勤務先の名称が同じでも、雇用主が同じとは限らないため、雇用契約書に記載された法人名を確認しましょう。

退職金共済に加入している介護施設から転職する場合

介護施設では、勤務先が退職金共済制度に加入していることがあります。共済制度を利用している場合、転職先も同じ制度に加入していれば、加入期間を通算できる可能性があります。

ただし、共済制度が違う場合や、転職先が制度に加入していない場合は、同じように引き継げるとは限りません。次の内容を、退職前に現在の勤務先と転職先の双方へ確認してください。

  • 現在加入している共済制度の正式名称
  • 転職先が同じ共済制度に加入しているか
  • 加入期間を通算できる条件
  • 移換や通算の申請者
  • 申請期限と必要書類

制度を確認しないまま退職金を受け取ると、後から加入期間を通算できなくなる場合があります。通算を希望するなら、退職手続きを始める前に確認することが大切です。

企業型確定拠出年金がある場合は移換手続きが必要

勤務先の退職金制度が企業型確定拠出年金の場合、転職後に年金資産をどうするか手続きが必要になることがあります。転職先に企業型確定拠出年金があれば、そこへ移換できる場合があります。転職先に制度がない場合は、個人型確定拠出年金などへの移換を検討することになります。

手続きをしないまま一定期間が過ぎると、年金資産が自動的に移換され、運用されない状態になることがあります。転職先が決まったら、現在の勤務先から「加入者資格喪失に関する書類」や移換に必要な案内を受け取り、期限を確認してください。

確定給付企業年金や確定拠出年金は、通常の退職金と受け取り方や手続きが異なります。制度名が分からない場合は、退職金を現金で受け取れるのか、年金資産として移すのかを担当窓口に確認しましょう。

退職金を受け取る前に確認すること

退職金の金額や支給時期は、退職理由や勤続年数によって変わることがあります。自己都合退職の場合に減額される規程や、定年退職・会社都合退職とは異なる計算方法を定めている規程もあります。

退職前に、次の項目を確認しておくと、転職後の資金計画を立てやすくなります。

  • 退職金制度の有無
  • 自分が制度の対象になっているか
  • 最低勤続年数
  • 自己都合退職による減額の有無
  • 退職金の計算方法
  • 支給予定日
  • 税金や手数料が差し引かれるか
  • 共済や企業年金の移換・通算が可能か

金額を確認するときは、担当者に「現時点で退職した場合の見込み額」「支給される時期」「転職先へ移換できる資産があるか」を分けて尋ねると、退職金と年金資産を混同しにくくなります。

転職前に行う確認手順

  1. 雇用主を確認する。勤務先の施設名ではなく、雇用契約書に記載された法人名を確認します。
  2. 退職金規程を読む。対象者、最低勤続年数、退職理由による違い、支給時期を確認します。
  3. 制度の種類を確認する。法人独自の制度なのか、退職金共済、確定給付企業年金、企業型確定拠出年金なのかを確認します。
  4. 転職先へ制度を尋ねる。退職金の有無だけでなく、加入条件、勤続年数の起算日、共済や企業年金の制度名を確認します。
  5. 必要な手続きを行う。受け取り、通算、移換のどれを選ぶか決め、必要書類を期限内に提出します。

担当者から口頭で説明を受けた場合は、支給条件や手続き期限をメールや書面でもらっておくと、転職後の行き違いを防ぎやすくなります。

退職金制度だけで転職先を決めてよい?

退職金制度は転職先を選ぶ重要な条件の一つですが、制度の有無だけで比較するのはおすすめできません。毎月の給与、賞与、夜勤手当、年間休日、昇給、定年、企業年金の有無を含めて確認しましょう。

退職金があっても、支給開始までに長い勤続年数が必要な場合があります。反対に、退職金がなくても給与や手当が高く、長期的な受取額が大きくなるケースもあります。求人票の「退職金あり」という表示だけでなく、何年働くといくら程度になる制度なのかを確認することが重要です。

介護職の転職で退職金制度を確認するポイント

介護職の転職で退職金がどうなるかは、退職する勤務先の規程、制度の種類、転職先の加入状況で決まります。別法人へ転職する場合は勤続年数が自動的に続くとは考えず、共済や企業年金の通算・移換だけ個別に確認してください。

最初に行うことは、現在の勤務先から退職金規程と制度名を確認し、次に転職先へ加入条件と引き継ぎの可否を尋ねることです。退職金を受け取るのか、転職先や別制度へ移換するのかは、手続き期限を確認してから決めましょう。