介護職の転職では、履歴書で「基本情報や志望理由」を伝え、職務経歴書で「これまでの経験・できる業務・実績」を詳しく示します。両方を提出する場合は、同じ内容を繰り返すのではなく、履歴書は要点、職務経歴書は具体例という役割分担にすると、採用担当者に経験が伝わりやすくなります。
履歴書と職務経歴書の違い
履歴書は応募者の基本情報と応募理由を確認する書類、職務経歴書は仕事の経験や能力を確認する書類です。介護職では、勤務先の種類だけでなく、担当した利用者、介護業務、保有資格などを具体的に書くことが重要です。
| 項目 | 履歴書 | 職務経歴書 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 基本情報や経歴の概要を伝える | 経験・スキル・実績を詳しく伝える |
| 主な内容 | 学歴、職歴、資格、志望動機、本人希望 | 勤務先ごとの業務内容、役割、工夫したこと、活かせる能力 |
| 分量の目安 | 市販または指定の様式に合わせる | 経験に応じて1〜2枚程度に整理することが多い |
| 書き方 | 簡潔に事実を記載する | 業務内容と経験を具体的に説明する |
応募先から指定された様式や提出方法がある場合は、それを優先してください。指定がない場合でも、履歴書だけでなく職務経歴書の提出を求められることがあります。
介護職の履歴書の書き方
履歴書は、誤字や記入漏れを避け、職歴・資格・志望動機が一貫している状態に仕上げます。採用担当者が短時間で確認できるよう、長い説明は避けて要点をまとめます。
職歴は勤務先と職種が分かるように書く
職歴欄には、勤務先の名称だけでなく、施設の種類や担当職種が分かるように記載します。たとえば、次のように書くと介護経験を把握しやすくなります。
- 特別養護老人ホームに介護職員として勤務
- デイサービスに介護職員として勤務
- 訪問介護事業所に訪問介護員として勤務
- グループホームに介護職員として勤務
同じ法人内で異動した場合は、勤務先や担当が変わった時期が分かるように整理します。パート、契約社員、派遣社員など、雇用形態も必要に応じて記載すると、経歴を正確に伝えられます。
保有資格は正式名称で記載する
介護福祉士、実務者研修、介護職員初任者研修などの資格は、正式名称で書きます。取得前の資格は「取得見込み」など、現在の状態が分かるように記載し、取得済みと誤解される表現は避けます。
運転免許、認知症ケアに関する研修、喀痰吸引等研修など、応募先の業務に関係する資格・研修があれば、職務経歴書と内容をそろえて記載します。
志望動機は応募先との接点を書く
志望動機は、「介護の仕事が好きだから」だけで終わらせず、これまでの経験を応募先でどう活かしたいかまで書きます。次の3点を入れると、内容を組み立てやすくなります。
- これまで担当してきた施設・サービスと業務
- その経験を通じて身につけたこと
- 応募先で取り組みたい業務や貢献できること
たとえば、通所介護から特別養護老人ホームへ転職する場合は、次のように整理できます。
「これまでデイサービスで、利用者様の送迎、入浴介助、レクリエーション、記録業務を担当してきました。利用者様の小さな変化を職員間で共有することを大切にしてきた経験を活かし、今後はより継続的な生活支援に取り組みたいと考え、志望しました。」
上記は書き方の例です。実際には、自分が担当した業務や転職理由に置き換えてください。応募先の理念やサービス内容を確認できている場合は、それに触れると応募先との接点が伝わります。
本人希望欄は条件を具体的に書く
勤務時間、夜勤、勤務地、入職可能日などに希望がある場合は、採用後の行き違いを防ぐため、必要な範囲で記載します。特に希望がない場合は、「貴社規定に従います」など、応募先の指定に合わせて書きます。
家庭の事情や通院などで勤務条件に制限がある場合は、履歴書だけで詳しく説明しすぎず、面接で相談できるよう要点を整理しておきます。無理に「対応可能」と書くと、入職後の負担や勤務上の問題につながる可能性があります。
介護職の職務経歴書の書き方
職務経歴書では、勤務先ごとに「どのようなサービスで、誰に、何をしていたか」を具体的に書きます。単に「介護業務全般」とまとめるのではなく、担当業務や役割が分かる表現にします。
勤務先ごとに基本情報を整理する
勤務先ごとに、次の項目を整理すると、採用担当者が経験を比較しやすくなります。
- 勤務期間
- 勤務先の種類
- 雇用形態
- 職種・役職
- 利用者の特徴や規模(確認できる範囲)
- 担当した業務
- チーム内での役割
利用者数や職員数を書く場合は、記憶だけで断定せず、求人票、勤務先の資料、在職時の記録などで確認できる数字を使います。正確な数字が分からない場合は、無理に記載する必要はありません。
担当業務は介助の種類ごとに具体化する
介護業務は、担当した内容を項目別に示すと経験が伝わります。たとえば、次のように記載できます。
- 食事介助、入浴介助、排せつ介助、移乗介助
- 更衣介助、口腔ケア、服薬確認や服薬介助
- レクリエーションの企画・実施
- 利用者の見守りと状態確認
- 介護記録や申し送りの作成
- 居室やフロアの環境整備
- 家族や他職種との情報共有
- 送迎業務や送迎時の介助
担当していない業務は、経験があるように書かないことが大切です。「補助」「見学」「一部担当」などの場合は、実際の関わり方が分かる表現にします。
介護職としての工夫や成果を書く
職務経歴書では、担当業務に加えて、仕事で工夫したことを書きます。数字で示せる実績がなくても、どのように考えて行動したかを説明できます。
- 利用者ごとの希望や生活リズムを確認して、声かけの方法を工夫した
- 申し送りで伝える内容を整理し、情報共有を行った
- 転倒リスクや体調の変化に注意し、必要な情報を職員へ報告した
- レクリエーションで参加しやすい役割を用意した
- 新人職員への業務説明やOJTを担当した
「頑張った」「丁寧に対応した」といった抽象的な表現だけでなく、「何を見て、どのように対応したか」を加えると、仕事の進め方が伝わります。
経験年数や施設の種類に応じた書き分け
職務経歴書で強調する内容は、介護職としての経験年数や応募先によって変わります。経験が長い場合は役割や後輩指導、経験が浅い場合は担当した業務と学んだことを中心に書きます。
| 状況 | 強調しやすい内容 |
|---|---|
| 未経験から介護職へ転職 | 接客、販売、事務、家族の介護など、応募先で活かせる経験と学ぶ姿勢 |
| 経験が浅い | 担当した介助、記録、申し送り、研修で学んだ内容 |
| 経験が長い | リーダー業務、後輩指導、業務改善、他職種との連携 |
| 施設から訪問介護へ転職 | 利用者宅での支援に活かせる観察力、生活援助、家族との関わり |
| 訪問介護から施設へ転職 | 一人で判断して対応した経験、利用者の生活に合わせた支援、報告・連絡・相談 |
| 介護職から相談員などへ転職 | 利用者・家族との面談、記録、関係職種との調整経験 |
施設の種類が違っていても、共通する業務だけを並べるのではなく、応募先で必要になりそうな経験を先に示すと、転職後の仕事をイメージしてもらいやすくなります。
退職理由と転職理由の伝え方
履歴書や職務経歴書では、前職への不満をそのまま書くのではなく、転職後に実現したいことへ言い換えます。事実と異なる説明をする必要はありませんが、批判的な表現が中心になると、応募先への意欲が伝わりにくくなります。
たとえば、「人間関係が悪かった」ではなく、「職員間の情報共有を大切にしながら、よりチームで連携できる環境で経験を活かしたい」と表現できます。「夜勤がつらかった」場合も、「今後は日勤中心の働き方で、利用者との関わりや記録業務に力を入れたい」など、希望する働き方を具体化します。
ただし、勤務条件に関わる重要な事情を隠すことは避けてください。夜勤の可否、勤務可能な曜日、入職可能日などは、事実に沿って説明します。
介護職の応募書類で避けたい書き方
- 履歴書と職務経歴書で職歴や資格の内容が異なる
- 「介護業務全般」だけで、担当した内容が分からない
- 応募先のサービス内容と関係のない志望動機になっている
- 資格名や勤務期間に誤りがある
- 在職中なのに退職済みのように記載している
- 希望条件を一切書かず、面接でも説明しない
- 前職や元同僚への不満が文章の中心になっている
- 経験していない業務や、できない勤務をできるように書いている
特に、夜勤、送迎、入浴介助、訪問業務などは、応募先によって担当の有無が異なります。経験の有無を明確にし、未経験の業務は「未経験だが、研修を受けて身につけたい」など、現在の状態と意欲を分けて書きます。
提出前に確認するチェックリスト
提出前には、内容だけでなく書類同士の整合性も確認します。
- 氏名、住所、電話番号、メールアドレスに誤りがない
- 履歴書と職務経歴書の勤務先名・勤務期間が一致している
- 資格の正式名称、取得年月、取得状況が正しい
- 応募先の施設種類や仕事内容に合った志望動機になっている
- 担当した介助や業務を具体的に書いている
- 経験していない業務を、経験があるように書いていない
- 夜勤や勤務曜日など、重要な希望条件を整理している
- 誤字脱字、記入漏れ、不要な空欄がない
- 提出方法やファイル形式、提出期限を確認している
まずは過去の勤務先、勤務期間、資格、担当業務を事実に沿って書き出し、その後に応募先に関係する経験を選んで文章化すると、履歴書と職務経歴書を作成しやすくなります。
介護職の転職では、履歴書に経歴と志望理由を簡潔にまとめ、職務経歴書に担当業務や工夫したことを具体的に書くことが基本です。応募先で活かせる経験を、勤務先の種類・介助内容・役割・勤務条件とともに、事実に沿って整理しましょう。







